« 中山カオルのルーツ | トップページ | 普通の人 »

2009年8月26日 (水)

なぜ建築なのか

「なぜプロレスじゃなくて建築なの?」と付き合いの長い友人から、このブログについて指摘がありました。彼の知っている「中山カオル」の構成要素に、プロレスや映画や音楽はあっても建築はないということでした。これではパーソナリティーを反映していない、と。確かにこれまで、建築への興味についてはあまり語ってきませんでした。

ブログを始めるにあたって、建築をテーマの一つにしようと考えたのには二つの理由があります。一つは、就きたい職業として初めて意識したのが建築士だったということ。もう一つは、昨年まで印刷物をレイアウトする仕事をしていましたがその現場から離れてしまったこと、です。

一つ目の理由は、30年以上前の小学生になるかならいかのころのことです。もちろんそれまでにもプロ野球の選手などにあこがれてはいましたが、現実的な夢として建物を設計する仕事をしたいなと思っていました。借家暮らしの長かったわが家では、両親が「いつか自分たちの家を持ちたい」とよく話してしていました。そのころは経済的に苦しい時期だったようで、ぼくの持っていたおもちゃはダイヤブロックとグローブくらいでした。ぼくは家族の夢を実現すべくブロックでプランづくりというか、家ばかり作って遊んでいました。こんな家ができたよ、という具合に。なにしろ(最近の子どもと違って)おもちゃが少ないので、与えられたブロックを駆使してありとあらゆるパターンの間取りと外観を考えました。限られた材料とスペースで何が作れるか、そんなことを考えるのがとても楽しかったことを覚えています。そして、いつか自分の家を自分で設計してみたいと思うようになりました。建築士になる夢はかないませんでしたが、3年前、自宅を新築するときにある設計事務所の建築家たちと出会いました。彼らの仕事ぶりを見ていると30年以上前の夢がよみがえり、再び建物に意識が向くようになりました(もっともそれまでもテレビ朝日系の「渡辺篤史の建もの探訪」はほとんど欠かさず見ていましたが)。当時の間取りや広さへの関心(とくに「自分の部屋」というものにあこがれがありました)とは違って、現在ではデザインや歴史的な背景に興味の重心を置いています。そういった意味でもモダニズム建築と呼ばれる丹下健三らの仕事にはいつも圧倒されます。

もう一つの理由ですが、印刷物をレイアウトするという仕事は、実は建築士のそれとよく似ています。限られた紙面(敷地)に、いかに読みやすく(住みやすく)必要な情報(部屋)を配置するか。それと同時に目を引くデザイン性を確保できるか。そして、両者とも図面を引くことが仕事の中心となります。さすがに現在では実際に「引く」ことはなくパソコンの画面上での作業となりますが、頭の中のアイデアを具現化するための手段として図面を作成しています。その現場を離れて、他の人の仕事を見ていると「このスペースの処理に困ったな」と同情してみたり、「こんな方法があったんだ」と感心してみたりと、もうできないが故に考えるところが増えていきました。そしてデザインや空間の可能性への興味が、印刷物だけにとどまらず、立体的に広がっていきました。

建築は、時代を映す鏡でもあります。文化や思想、経済環境を反映しています。印刷・出版物も同様です。この二つの分野に関心を持ち続けていきたいと、今は思っています。

|

« 中山カオルのルーツ | トップページ | 普通の人 »

建築」カテゴリの記事

コメント

なかなか興味深く拝見しました。建築とあなたがなかなか結び付かなかったけれど、そんなに熱い思いだったとは…。
そして、あの仕事にもそんな楽しみ方があったとは…。人生、見方をかえればまだまだ楽しめそうですね。

投稿: アベシ | 2009年8月27日 (木) 14時39分

なるほど、建築と印刷物のレイアウトにそのような共通性があったとは全く考えもしませんでした。
建築の立体的なイメージで印刷や出版物のレイアウトを考えれば、まだまだ可能性は広がりそうですね。

投稿: Black Tree | 2009年8月27日 (木) 22時00分

アベシさん

文章に書くと大袈裟になりますが、まあデザイン的な作業に興味があるということですね。服だったり、絵だったり、クルマだったりと、人がデザインしたものだったら何でもです。とくに建築物は規模が大きいですから圧倒されることが多いです。一人の建築家のアイデアが図面になり、それを元に多くの人が努力するわけですから、それだけでも感動してしまいます。

Black Treeさん

人がデザインするということは、何か意図があってのことだと思っています。感覚的な部分も多いので全ての意図を説明できないにしても、やはりその形が気持ちいいと感じたのでしょう。その意図を感じ取ることが、建築などのデザインを見る楽しみではないでしょうか。

投稿: 中山カオル | 2009年8月27日 (木) 23時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: なぜ建築なのか:

« 中山カオルのルーツ | トップページ | 普通の人 »