夕飯の準備をしていると息子が「ぼくが手伝っちゃん」としつこく言ってきました。息子が手伝うと時間がかかるので、いけないなと思いながらも「盛り付けをお前にしてもらうけん、それまで向こうで本を読んじょきよ。後で呼ぶわ」と答えました。すると息子は悲しそうな顔をして「ぼく、手伝ってあげたかったに…」。
日曜日のことです。午前中は掃除と洗濯をしていて、息子と遊んであげられませんでした。息子は一人でぬり絵をしていましたが、近所の子どもたちが外で遊び始めたので仲間に入りました。そして12時すぎに「みんな、昼ごはんやけん帰った」と戻ってきました。
朝食を作って片付け、掃除して洗濯をしたら、もう昼食の準備。休日なのに息をつく暇がありません。冷蔵庫の残りもので焼き飯を作って食べさせました。食べ終わった息子は「お父さん、遊ぼう。約束したやろ」と張り切っています。ぼくが午後になったら遊んでやると言っていたからでした。
「お父さんな、これからお皿を洗わんといけんやろ。その後な、疲れたけん少し休んでいいか?」
「えー、遊ぶっち言ったやん」
「そうやけど、少しやったらいいやろ。その後で遊んじゃんわ」
そう言ってパソコンを立ち上げたら、前回の記事にあるように“ツイッタースパム事件”に巻き込まれてしまいました。ぼくが対応に追われている間、息子は何度も「お父さん、見て」と言っては仮面ライダーの変身ポーズをしたりしてぼくの気を引こうとします。ぼくは「今な、お父さんは忙しいやろ。見れば分かるやろ」と強く言ってしまいました。息子は「分かった」と肩を落として隣の部屋に行きました。
しばらくして戻ってくると寂しそうに「お父さん」と話しかけてきました。
「ぼくが邪魔なら、おばちゃん(ぼくの妹です)の家に行こうか。ぼく、迎えに来てっち電話するわ」
そう言う息子の目には涙が溜っていました。ぼくは、ハッとしました。息子がいつも寂しい思いをしていることを分かっているつもりでしたが、つい自分の都合で接してしまっていました。「ごめん。お父さんが悪かった。昼から遊ぶっち約束したもんな。お父さんな、お前を邪魔と思ったことは一度もないんで」と言って抱きしめました。「ぜーんぶ、やめた。これからお前と遊ぶわ」と言うと、単純なもので「本当?」と目を輝かせました。さっきまで泣いていたのに、です。それから外に出て、一緒に自転車で遊びました。
水曜日のことです。息子は結膜炎かもしれないということで保育所を休ませなければなりませんでした。ぼくは病院に併設されている病児保育センターに預けようと思っていましたが、息子は「そんな所はいやだ」と言って聞きません。出社の時間が迫り焦っていたとはいえ、また強く言ってしまいました。
「うちにはお母さんがおらんのやけん、どこでも頑張れる子どもにならんと困るやろ」
すると息子は大声を出して泣き出しました。そりゃそうです。「どこでも頑張れる子ども」になってほしいのはぼくの本心ですのでいいとして、「お母さんがおらん」のは息子の責任ではありません。息子に言うべきことではなかったと思います。ぼくは妹に電話して、面倒を見てもらえないかと頼みました。
そして今夜。冒頭のように、お父さんと一緒に料理を作りたいという息子の気持ちに応えてあげようとはしませんでした。そんなことがあると、いつも反省しています。それなのに息子の気持ちを踏みにじってばかりです。父親失格だな、と思います。人として親としての器の問題かもしれませんが、もう少し気持ちに余裕があれば、とも思います。そのためにはどうすればいいか。最近はそればかり考えてしまいます。
今夜は結局、一緒に野菜炒めを作りました。息子は包丁で野菜を切ってくれました。ぼくが一人で作るより倍の時間がかかりますし、やはり疲れます。それでも息子の笑顔を見ると、彼の気持ちを大切にしなければ、と思います。それが分かっているのに、なかなか気持ちに応えてやれません。そんな自分を恨めしく思います。
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