お母さんがおればよかった
朝食のとき、息子が思い出したように言いました。「なあ、お父さん。お母さんがおればよかったなあ」。ぼくは「そうやなあ」としか答えられませんでした。今度はぼくの方から「どうかしたん?」と聞いたところ、「何でもない」。
ぼくが体調を崩していて家事ができなかったので、夕食はファミリーレストランに行きました。ぼくら以外のテーブルは家族連ればかり。両親ときょうだいの4~5人の家族。息子は何も言いませんが、ほかのテーブルが気になるようでジロジロと見ていました。
そして寝かせつけていると、ぼくに頬を寄せて言いました。「お父さん。ぼく、さびしい」。合わせた頬に涙が伝いました。ぼくは答えられず、ただ息子を抱きしめました。ようやく見つけた言葉は「お父さんもさびしいわ。だけんな、二人でお母さんの分も楽しく暮らさんとなあ」。ぼくの精一杯の答えでした。息子はぼくの気持ちを察したのでしょう。「分かった」と返し、そのままぼくの腕の中で眠ってしまいました。
命日を前にして、家の中の空気が張り詰めています。息子もそれを感じ取っているのでしょう。
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コメント
さびしいよなー。
私もさびしいです。あれからもうすぐ1年かと思うと、長いようなあっという間のような。
これは乗り越えなければいけない壁なのかな?でも乗り越えるなんて無理だよ。ご子息も、あなたも。私たちだって。
彼女の話をいっぱいするしかないのかな?でもご子息は甘えたいよね。彼女の胸に抱かれて。
神様は残酷だよ。つくづくそう思います。
ただ、そういう自分だって、明日生きているかなんてわからない。だから、毎日真剣に向き合って生きています。
なんかうまく言えないけど、彼女に会えないもどかしさはいつまでも消えません。
投稿: K | 2010年1月28日 (木) 21時45分
息子さんの気持ちに寄り添って「お父さんも寂しい」と本音で抱いてくれるお父さんの気持ちを、息子さんはしっかりと感じとっているのですね。傍にいるお父さんと天国から見守るお母さんの存在を心の中でいつも感じながら、息子さんはこれから大切な人との出会いを広げて成長されていくことと思います。
このブログのコメントを拝見させていただく度に、中山さん親子をあたたかく応援する人たちの輪が広がっているのを感じます。
もしかしたらこの輪の広がりも、奥様が導いてくださっているものかもしれない、と勝手に考えてしまいました。
投稿: Black Tree | 2010年1月29日 (金) 01時01分
Kさん
ぼくと息子にとってのこの1年。ぼくの語彙では言い表すことができません。ただ、今日も二人で笑うことが出来ました。妻に感謝するばかりです。
1年たっても妻のことを思い出してくれるKさんにも感謝しております。ありがとうございます。
投稿: 中山カオル | 2010年1月29日 (金) 22時43分
Black Treeさん
ぼくも妻が導いてくれていのだと思っています。Black Treeさんをはじめ、みなさんのコメントにいつも励まされています。ありがとうございます。
投稿: 中山カオル | 2010年1月29日 (金) 22時49分