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2010年1月15日 (金)

ぼくが邪魔?

 夕飯の準備をしていると息子が「ぼくが手伝っちゃん」としつこく言ってきました。息子が手伝うと時間がかかるので、いけないなと思いながらも「盛り付けをお前にしてもらうけん、それまで向こうで本を読んじょきよ。後で呼ぶわ」と答えました。すると息子は悲しそうな顔をして「ぼく、手伝ってあげたかったに…」。

 日曜日のことです。午前中は掃除と洗濯をしていて、息子と遊んであげられませんでした。息子は一人でぬり絵をしていましたが、近所の子どもたちが外で遊び始めたので仲間に入りました。そして12時すぎに「みんな、昼ごはんやけん帰った」と戻ってきました。
 朝食を作って片付け、掃除して洗濯をしたら、もう昼食の準備。休日なのに息をつく暇がありません。冷蔵庫の残りもので焼き飯を作って食べさせました。食べ終わった息子は「お父さん、遊ぼう。約束したやろ」と張り切っています。ぼくが午後になったら遊んでやると言っていたからでした。
「お父さんな、これからお皿を洗わんといけんやろ。その後な、疲れたけん少し休んでいいか?」
「えー、遊ぶっち言ったやん」
「そうやけど、少しやったらいいやろ。その後で遊んじゃんわ」
 そう言ってパソコンを立ち上げたら、前回の記事にあるように“ツイッタースパム事件”に巻き込まれてしまいました。ぼくが対応に追われている間、息子は何度も「お父さん、見て」と言っては仮面ライダーの変身ポーズをしたりしてぼくの気を引こうとします。ぼくは「今な、お父さんは忙しいやろ。見れば分かるやろ」と強く言ってしまいました。息子は「分かった」と肩を落として隣の部屋に行きました。
 しばらくして戻ってくると寂しそうに「お父さん」と話しかけてきました。
「ぼくが邪魔なら、おばちゃん(ぼくの妹です)の家に行こうか。ぼく、迎えに来てっち電話するわ」
 そう言う息子の目には涙が溜っていました。ぼくは、ハッとしました。息子がいつも寂しい思いをしていることを分かっているつもりでしたが、つい自分の都合で接してしまっていました。「ごめん。お父さんが悪かった。昼から遊ぶっち約束したもんな。お父さんな、お前を邪魔と思ったことは一度もないんで」と言って抱きしめました。「ぜーんぶ、やめた。これからお前と遊ぶわ」と言うと、単純なもので「本当?」と目を輝かせました。さっきまで泣いていたのに、です。それから外に出て、一緒に自転車で遊びました。

 水曜日のことです。息子は結膜炎かもしれないということで保育所を休ませなければなりませんでした。ぼくは病院に併設されている病児保育センターに預けようと思っていましたが、息子は「そんな所はいやだ」と言って聞きません。出社の時間が迫り焦っていたとはいえ、また強く言ってしまいました。
「うちにはお母さんがおらんのやけん、どこでも頑張れる子どもにならんと困るやろ」
 すると息子は大声を出して泣き出しました。そりゃそうです。「どこでも頑張れる子ども」になってほしいのはぼくの本心ですのでいいとして、「お母さんがおらん」のは息子の責任ではありません。息子に言うべきことではなかったと思います。ぼくは妹に電話して、面倒を見てもらえないかと頼みました。

 そして今夜。冒頭のように、お父さんと一緒に料理を作りたいという息子の気持ちに応えてあげようとはしませんでした。そんなことがあると、いつも反省しています。それなのに息子の気持ちを踏みにじってばかりです。父親失格だな、と思います。人として親としての器の問題かもしれませんが、もう少し気持ちに余裕があれば、とも思います。そのためにはどうすればいいか。最近はそればかり考えてしまいます。
 今夜は結局、一緒に野菜炒めを作りました。息子は包丁で野菜を切ってくれました。ぼくが一人で作るより倍の時間がかかりますし、やはり疲れます。それでも息子の笑顔を見ると、彼の気持ちを大切にしなければ、と思います。それが分かっているのに、なかなか気持ちに応えてやれません。そんな自分を恨めしく思います。

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親子の日々」カテゴリの記事

コメント

息子さんは、中山さんのことが大好きなんですね。
奥様が空の上で焼きもちを焼いているかもしれません。

僕も休日は息子と二人だけで過ごすことが多いです。
息子の特性のせいか自我が発達してきたせいか、なかなか言うことを聞いてくれず、つい激しく接してしまうことも度々あります。 
そうするとさすがに息子も空気を察するのか、目を伏せてこちらの手のひらに顔を押し当ててきます。
そんな時に自分も情けなくなって、こんな状態がこの先もずっと続くのか…この世界に自分たち二人しかいなくなったような感覚になってしまいます。
でも息子のほうが気持ちの切り替えが早くて、それが可笑しくもあり、こちらも助けてもらっています。

中山さんの父性も、息子さんとの絆も、ちょっとくらいのことで壊れるものではないでしょう。
寒さが厳しくなり体も心も停滞する今が一番つらい時期です。 それももうしばらくでしょう。
春夏秋冬と一巡して、新しい気持ちでやれる時はまもなくです。

中山さんの妹さん、職場の皆さん、どうぞよろしくお願いします。
私が言うのもなんですが。

投稿: むーにゃん | 2010年1月16日 (土) 09時38分

むーにゃんさん

ありがとうございます。妹も職場の方たちも協力的で助かっています。
おっしゃる通り子どもは親を見ていますよね。それも感覚的なレベルで。おそらくむーにゃんさんの息子さんも感じとっているのではないでしょうか。
先ほどビデオの録画に失敗して「あ~あ」と嘆いていたら、息子が「ぼくが悪いん?」と聞いてきました。ぼくが怒りすぎるということもありますが、小さな心で不条理を背負い込もうとしているように感じました。それは自分に母親がいないことを含めてです。ぼくは「お前は悪くない。悪いのはお父さん。だから心配するな」と言いました。
いつか彼の人生について「お前は悪くない。そして誰も悪くない。だから不条理なんだ」と話そうと思っています。

投稿: 中山カオル | 2010年1月16日 (土) 23時09分

うーん。
世の女性も初めから子どもとうまく付き合ってた訳じゃなく、ただ一般的に、男性よりも子どもと接する時間が多いから、だんだん子どものあしらい方、これをさせとけば子どもも納得、親も邪魔されない方法みたいなのを見つけていくのであって…。

つまりあなたはまだ父親1年生なんだよ。だから、まだそこらへんのさじ加減がうまくいかないとゆーか、それは経験値を積まなきゃどうしようもない訳で…。だから親としての器うんぬんとかの問題じゃないと思います。

もっというなら、時間かかっても手伝わせて、ご子息が「おなかすいた」と言ったときにすかさず、「手伝ってくれるのはうれしいけど、君はまだ園児で、時間かかるから、お腹すいてないときに頼むわ」と言うとかね。
子どもは経験しないとわかんないじゃない?自分が手伝うことで、お腹がすいて我慢できなくなるから、手伝わないことも必要なんだ、と、体得させなきゃ、子どもだって納得できないよ。

皿なんて、洗わなくても死なないよ。洗濯物だって、畳まなくたって、いーじゃない。手抜きができ始めたら一人前の主夫ですね(かなり脱線しちゃった)。

なんか、言いたいこと伝わったかしら?ま、わかっちゃいるけど…だよね。愚痴って、愚痴って。

投稿: K | 2010年1月16日 (土) 23時43分

Kさん

そうそう。分かっちゃいるけど、です。愚痴です。
何が言いたいかというと単純な話で、自分に余裕がないと何をやってもうまくいかないよねってことで。
それともう一つ。これは近いうちにもう一度本文で書こうと思っていますが、息子の境遇についてで、彼の責任ではないのに彼はそれを背負っていかなけばならないということ。それに対して親として何をしてやれるかと考えざるを得ないってことですね。
何にしても「ぼくが邪魔?」と子どもに言わせる親はよくないな、と。

ぼくらの毎日は…濃密な時間を過ごしています。むーにゃんさんがコメントされていましたが、妻が焼きもちを焼いているかもしれません。ただ、その関係(父子二人の家庭)が世の中のスタンダード(そんなものクソったれ!ですが)ではないことを理解してほしいとも思っています。そうでないと、彼の将来の結婚生活が破綻してしまうかもしれませんので。

投稿: 中山カオル | 2010年1月17日 (日) 00時12分

涙をためた息子さんを見て、「ぜーんぶやめた。これから遊ぶわ」というお父さんの言葉ですべてが帳消しになったのではないかと思います。
僕も「自分の都合」を優先させてしまい反省することが多い毎日ですが、ふと我に返って大切なことに気づかせてくれるのが子供ですよね。理屈じゃなく、感覚で。
そんな時は中山さんのように素直に謝って子供を抱きしめられる父親でありたいと思っています。
逆に言えば、それができるということは「余裕がある」ということではないでしょうか。
僕はまだまだですけどね・・・(笑)

投稿: Black Tree | 2010年1月17日 (日) 22時51分

Black Treeさん

子どもは親に対して、いつもシグナルを出しているんですよね。すべてのシグナルに反応することは出来なくても、喜びだったりSOSだったり大切な訴えを見逃さないようにしたいものです。
余裕は…あるんですかね。あったらいいなと思います。息子のためというより自分のために。

投稿: 中山カオル | 2010年1月17日 (日) 23時56分

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